等々力陸上競技場整備計画に関する意見交換会のご報告

12月10日(土)に開催されました「等々力陸上競技場整備計画に関する意見交換会」についてご報告いたします。

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「等々力陸上競技場整備計画に関する意見交換会」
2011年12月10日(土)10:00~ 於・川崎市市民ミュージアム1階 特別資料室

[当日資料]
■等々力緑地再編整備検討委員会事務局より
資料:等々力陸上競技場整備計画 (P1~P3)(P4~P8

[主催]
川崎市

[出席者]
・川崎市総合企画局公園緑地まちづくり調整室長 鈴木 賢二 氏
・川崎市総合企画局公園緑地まちづくり調整室担当課長 岡 正 氏

[参加者数]
約90名

[意見交換会内容]

川崎市・鈴木氏

1124日に発表した等々力陸上競技場の整備計画についてのご報告と参加者との意見交換というのが本日の趣旨。全体の流れとしてまず「等々力陸上競技場の全面改修を推進する会」の斎藤文夫会長からご挨拶をいただき、その後、整備計画を資料に沿って説明する。その後、意見交換の時間を設ける。最後に川崎フロンターレの武田信平社長(以下 武田社長)よりお話をいただく。

「等々力陸上競技場の全面改修を推進する会」斎藤文夫会長 挨拶

等々力陸上競技場の再編が実現してきた。本日は経過の報告をし、今後も川崎市当局が手を抜くことの無いように見守りながら全面改築の第一歩を踏み出すような会にしたいと思っている。川崎市から整備計画を聞き、武田社長とも十分に話し合い、これで進めてほしいと川崎市に話した。

その中で全面改築をなるべく早く実施して競技ができるようにしてほしいという思いはあるが、以前のスタンド改修の際に発生した市債が48億円残っており、このお金を償還してからでないと全面改築を進めるのは難しいのと同時に、現在の財政状況の中で国に財政援助を交付して大型事業を推進する事がいかに大変なのかがわかってきた。

残念ながらすぐに48億円を返すことは不可能なため、まずは第1期工事として3,400名収容のメインスタンドを全面改築する。工期の最中も仮設スタンドを建設して競技運営ができる体制で進めていく。フロンターレには等々力にとどまって戦ってもらうことが必要。ですので、1日も早く競技場を完成させて優勝を目指して頑張ってもらわなくてはならない。

阿部市長と123日に直接話をし、サポーターの皆さんに工期が2つに分かれてしまったことを率直に伝えてほしいとお願いをされた。私も十分に理解をしていたのに加え、もし市長が変わっても次の市長にしっかりと2期工事の引き継ぎをしてもらうことを条件にこの案に賛成をした。

2012シーズン終了後メインスタンドを取り壊し、仮設スタンドを建てて工事をすすめていく。工期はおよそ23年で同時に等々力緑地全体の再編を進めていく。府中街道にバスロータリーを整備し、野球場の改築、プールの廃止、じゃぶじゃぶ池の整備などを進め、それらが完成した後の事業評価を経て第2期工事に移っていく。ゆくゆくの全体収容人数は35,000人を目指している。

工期が延びてしまったが、今日の財政状況を考慮すると容認せざるをえない状況になっている。武田社長とも足並みをそろえて川崎市、阿部市長に強く訴えてきた結果がこの整備計画となっている。市民運動の成果として、定例市議会において自民党の橋本議員、民主党の山田議員の2人から等々力陸上競技場の現状と今後の体制に関する質問を受け、市長や局長が今話してきた整備計画を説明している。工期が1期と2期に分かれる事、その間が3年程空いてしまうことに不満を抱えつつも市政にしっかりと等々力陸上競技場の全面改築のくさびを打てたことは市民運動としては初の事例ではないかと思われる。最善の方法を模索しつつ市の当局と散々話し合った結果なので是非この整備計画に賛同、協力をしていただきたい。

本日は総合企画局長に出席を強く要請をしたが諸事情によりどうしても出席ができなかった事も、併せて皆さんに伝えさせていただく。

川崎市・岡氏

整備計画を資料に沿って説明する。1ページ目の左に「背景」としてこれまでの経過と検討課題をまとめている。

(資料:等々力陸上競技場整備計画 1ページ 「1.背景、2等々力陸上競技場整備計画」の読み上げ)

(資料:等々力陸上競技場整備計画 2ページ 「等々力緑地施設配置図」の説明)

(資料:等々力陸上競技場整備計画 3ページ 「競技場周辺の整備イメージ」の説明)

陸上競技場は35,000人、硬式野球場は1万人規模を想定しているので歩行者導線を確保する為にデッキを整備する。

(資料:等々力陸上競技場整備計画 4ページ 「整備スケジュールイメージ」の読み上げ)

デッキは2014年度にメインスタンド側から着手をし、その後硬式野球場整備に沿って中央広場上の整備をしていき、バックスタンドとサイドスタンドの整備に併せて完了を目指して整備を進めていく。

(資料:等々力陸上競技場整備計画 5ページ 「第1期整備(メインスタンド)の整備イメージ」の読み上げ)

(資料:等々力陸上競技場整備計画 6ページ 「第2期整備(サイドスタンド・バックスタンド)の整備イメージ」の読み上げ)

今回の想定2案お示ししているが建て替えないと35,000人が実現できないので、建て替える為に事業評価をしていく手続きを進めていく。

(資料:等々力陸上競技場整備計画 78ページ 「第1期整備(メインスタンド)の諸室等配置イメージ」の読み上げ)

参考程度に付けたものでまだ意見交換をしている段階。

(資料:等々力陸上競技場整備計画 1ページ 「3.今後の予定」の読み上げ)

予算措置が出来次第、速やかに全体像を具体化していく作業に移らせていただく。

「等々力陸上競技場の全面改修を推進する会」斎藤会長から「等々力劇場の源 あなたの考える一体感」をとりまとめた資料(約700件のご意見)を川崎市へ提出


—-質疑応答—-

(意見)

陸上競技場の閉鎖期間が長くなると中学、あるいは高校の3年間全く等々力陸上競技場で陸上競技をする機会がなくなることをさせてはならないと考えていたが、今回の説明で「競技運営をしながら改築を進めていく」と明記されていたので賛成をしたい。

(質問)

資料6ページの改修案の併記が気になる。確実に改築案になるのか。

中途半端に第2期工事が中断すると市民として財産の損失なので明確に第2期工事を完了するとしていただけないか。

川崎市

2期工事の整備完了、改築を目指して取り組んでいく。

(質問)

プールが廃止になる事について。プール、野球場、陸上競技場の利用者数などの数字的裏付けはあるのか。

そして整備を進める優先順位の決定過程を教えていただきたい。

川崎市

市内で最も利用者数の多いプールで、年間56万人の方が利用されている。利用者数は多いが期間が限定されてしまうので、緑地の有効活用のためにじゃぶじゃぶ池に変更し、陸上競技場のサイドスタンド、もしくはバックスタンド下にプールを複合化していく。

野球場の利用者数は陸上競技場よりは少ないが建設後45年経っているので改築が早急に叫ばれている施設である。

さらに、陸上競技場は第1期工事期間内にホームサポーター側から見える位置に大型映像装置を整備する。

(質問)

身体障害者用のトイレとエレベーターはそのまま整備されるのか。

川崎市

資料の7ページはイメージ図だが、身体障害者にもやさしいスタジアムを目指しているのでエレベーターもトイレも整備していく。

(質問)

48億円の市債の早期償還が可能なのか、またそれが実現できない時に等々力陸上競技場の安全は確保されるのか。さらに改築後の周辺道路のアクセス簡易化、渋滞対策をどう考えているのか。

川崎市

市議会で市長が同じ質問に答えている。建て替えに向けてしっかりと手順を踏んでいく。陸上競技場メインスタンド、野球場と整備をしていきその中で第2期工事の建て替えに向けて手順を踏んでいく。

現在の陸上競技場の安全面対策としてコンコース上にある階段の整備も検討をしている。

交通渋滞の件は、周辺道路の再編整備も考慮した計画をしている。等々力緑地正面広場の道路を再編、バス停の移設、国道409号(府中街道)の整備も併せて検討をしている。

(質問)

市議会で市債の早期償還について触れている質問があるがそのことについて市長は回答されていない。「第2期工事は事業評価を実施したうえで方針を決定」というわかりにくい表現なので説明をお願いしたい。

川崎市

市債の償還についての質問に答えていないという事実はない。市長は建て替えにむけて進めていくと発言しており、実施計画の中で35,000人を目指していく。建て替えをしないとそれが実現できないので、そのために市債の償還の手続きを進めていく。

(質問)

外部の有識者などによる事業評価の結果、改築を実施できない可能性があるのではないか。

川崎市

事業評価でそのような指摘を受けることは想定できるが、その場合はそれをクリアするために調整をするという進め方をする。

(質問)

野球場の改築を陸上競技場の第2期工事の前に進めているが、22万に及ぶ陸上競技場の署名請願の事を考慮すると、野球場の改築にあてる税金を市債の早期償還に回した方がいいという考えはないのか。

川崎市

ご意見として承る。野球場は築45年ということの老朽化、施設の不備で競技運営に苦労している。要望は署名もあるが他の手段もあり、有識者で議論して計画をしたので基本的には戻せない。計画を崩すと他の部分にまで影響が出て計画の総崩れにもつながるので理解していただきたい。

(質問)

市債の繰り上げ返還が必要ということに関して、市債を減らす手続きの計画を教えていただきたい。

多摩川を渡す道路、一般客に向けた駐車場、等々力に通じる地下鉄の整備について教えていただきたい。

川崎市

前回の改修の際の市債は住宅ローンのような形で毎年返している。平成38年度に完済できる見込み。しかし市債というのはその目的のものがなくなった場合まとめて返さないといけないのが原則。建て替えになるとそこに矛盾が生じるので手続きを進めていく。

多摩川新橋に関連して、駐車場は現在と同程度の規模で確保する予定。車でのご来場を促す事はしない。地下鉄の計画は事業認可を取り消しており、この先どうしていくかを議論している。

(質問)

完成目安はどのように設定しているか。

川崎市

(資料6ページを参照)工期を分割してサイドスタンド・バックスタンドの工事を進めていきたいと考えている。具体的な目安は設定次第発表していく。

(質問)

工事の発注は第1期と第2期で別の発注業者にするのか、同じ業者なのか。

仮設スタンドは陸上トラックにかかってしまう部分はあるのか。

資料内に改築後のスタンドイメージ図があるが、傾斜を参考にしたスタジアムはあるのか。

川崎市

当然、全体像をにらんだ事業者提案を受け付ける。第1期と第2期工事で全体をにらんだ提案を受けていくが、メインスタンドの提案が優先される。

陸上トラックにはかからない位置に仮設スタンドを建設する。

スタンドの角度はイメージとして提示しているので、可能な限りコンパクトになるように書いているに過ぎない。

(意見)

1期と第2期工事で年の差ができてしまうので数10年後に同じ議論にならないような進め方をしてほしい。造るからには川崎の誇りになるようなものをお願いしたい。

川崎市

ご意見として承る。タイムラグの問題が出ないように進めていく。

(質問)

仮設スタンドの収容人数を教えてほしい。

自転車での来場者が多いので駐輪スペースを確保していただきたい。

川崎市

仮設スタンドについては関係諸室とのバランスを調整しているので具体的な数字はまだ発表できない。

駐輪スペースも確保したいと考えているが具体案は示せない。

(意見)

1期と第2期に分けた工期は現状ではベストな策ではないか。またサッカーと陸上を共存させて改築を進めてくれるといいうことでありがたい。安全を第一に考えて進めていただきたい。

(質問)

私見ではありますが、改築する際は現状の「解放感」を継続していただける屋根の長さや角度などの形状を考えていただきたい。

川崎市

屋根の形状は日よけ、雨よけの点で重要であり、芝の育成に関しても重要ととらえているので有識者の意見を参考にしながら「解放感」を継続していきたいと考えている。

(質問)

野球場改築は白紙に戻して室内プールをつくるというのはどうなのか。また今の計画の経緯をお聞かせ願いたい。

川崎市

プールは陸上競技場との複合化に向けて計画している。市内唯一の硬式野球場なので廃止はありえないが移転の可能性を探って議論はした。有識者と議論を重ねた結果がこの計画なのでご理解いただきたい。

(質問)

バックスタンド拡張時の余地はあるのか。莫大の費用がかかる可動式スタンドの人力化、防音板の設置も検討していただきたい。

川崎市

余地は狭いが現状の位置で進める計画でいる。人力可動式スタンド、防音板もご意見として承る。

(質問)

選手バスの導線計画を教えていただきたい。また、桜並木を残していただきたい。

川崎市

中央沿道を廃止するという話をしたが、選手バス等の関係車両は今の位置から入っていただくことを考えている。

桜並木もなるべく残す方向で検討している。

(質問)

建て替えに向けての事業評価に関してですが、市債へ財政調整基金などの財庁のお金をあてられるかお聞かせ願いたい。

川崎市

一般的には税金で返済していく事になっている。詳しくは関係部署と確認する。

(質問)

デッキによって選手バスの出迎えが困難にならないか。

川崎市

デッキの幅等は今、検討をしている。デッキ上からの投げ込みも考えられるので考慮が必要。陸上競技場と野球場の間の広場で出迎えられるように調整していく。

川崎フロンターレ・武田信平社長

行政の説明に感謝。皆さんの熱意と行動力で等々力陸上競技場改築が実現できそうなところまで来た。検討委員会が発足して3年、やっと設計にこぎ着けた。

行政の事業は民間のものに比べると手順を多く踏まなければならないことを学んだ。大規模な事業の場合はその必要性と資金調達が重要。行政は税金を使う事もあってステップをしっかりと踏んでいかなくてはならない。時間がかかってしまっている感はあるが、理想と現実があり、現実の財政状態、市債の問題を考慮すると2期に分ける工事は仕方ない。

ただ、私を含め皆さんが心配しているサイドスタンド・バックスタンドの2期工事の実施については、回りくどい言い回しをしなければならない行政の立場を理解して彼らを信じようではないか。さらに早期償還について、税金を使うという意味で川崎市民全員が納得いくような案がないと実施できない行政の立場も理解する必要がある。税金の使い道のさじ加減は分からないことなので専門家(行政)に任せるしかない。そういったことを踏まえた上で2期工事を理解していただきたい。斎藤会長も次の市長に2期工事を引き継がせると約束をしてくれているのでそれを信じて進めていく。市民としての権利を行政にしっかりと行使していき2期工事を見守っていく。

もともとのコンセプトである「安心、安全、快適なスタジアム」をベースにして「一体感」ができるスタジアム建設に向けてやっていきたい。

2013年シーズンから仮設スタンドができ、皆さんに大変な不便をおかけすることになると思うが是非ご協力をよろしくお願いしたい。仮設スタンドの安全面を重点において試合運営をしていくのでよろしくお願いしたい。

以上