新メインスタンドを視察してきました!

このたび等々力陸上競技場の全面改修を推進する会では、来春のリニューアルオープンに向け、大詰めに差し掛かった新メインスタンドの建設現場を訪問し、その全貌を現しつつある新メインスタンドの様子を視察してきました。
等々力陸上競技場の全面改修を推進する会では、これまで川崎市に対し、等々力陸上競技場がすべての市民にとって愛着と誇りを持てる安全で快適なスタジアムに生まれ変わるよう、様々な視点から具体的な要望や提案をして参りました。それらが新メインスタンドの設計にどのように反映され、どんなものが建設されようとしているのか、このたびの視察の際に撮影した写真とともにご報告いたします。

(視察日:2014年11月2日)


11月2日、新メインスタンドの建設現場を視察してきました。


視察に先立ち、川崎市および大成建設の現場責任者の方々から、工事の進捗状況や建設現場に入る上での注意事項などの説明がありました。


新メインスタンドの建屋内の現在の様子。フロアにはいろいろな建設資材が置かれており、諸室の内装はまだまだこれからの模様です。


室内からスタンド部分に移動します。現時点では座席が設置されていないため、1層目、2層目ともに階段状のコンクリートそのままの状態です。


足元に細心の注意を払いながら、スタンド各所を見て回ります。


今回の視察では、メインスタンド1層目と2層目、さらにスタンド裏側のコンコースやトイレなどを見て回りました。建設中ということもあり、入れる場所や時間が限られていましたが、私たちがこれまで要望や提案をしてきたことがどのように活かされているのか、まさに建築中の現物を実際に確認することができました。

(1)メインスタンド全面を覆う屋根が設置されます

一般的にメインスタンドは競技場内で最も観戦環境に優れ、観戦者も好んで座るものですが、これまでの等々力陸上競技場のメインスタンドには屋根が設置されていなかったため、観戦者は常に雨の心配をする必要がありました。また、雨に濡れたスタンドは滑りやすく危険な状態になるため、ご年配の方、お子様連れの方は特に大変でした。等々力陸上競技場の全面改修を推進する会では、観戦者が安全かつ快適に観戦できるよう、メインスタンドへの屋根の設置を要望しておりました。

<旧メインスタンド>

屋根が設置されておらず、観戦者は常に雨の心配をする必要がありました。

<新メインスタンド>

新メインスタンドには、スタンドのほぼ全面を覆う屋根が設置されます。旧メインスタンドのそれとは比べ物にならない程のこの巨大な屋根は、新スタジアムのシンボルとなることでしょう。


屋根の高さはかなりあるため、下層スタンド前方や両サイド側の席は、風向きによっては雨が降り込むことがあるかもしれません。


屋根の先端部分にはLED(発光ダイオード)照明が約300個取り付けられ、観客席とグラウンドを照らします。川崎市によると、Jリーグの本拠地では初めての試みだそうです。

(2)観客席の数と種類が増えます

これまで競技場全体の収容可能人数は25,000人と公表されておりましたが、川崎市によると、この数にはメインスタンド両端のスペースなどが観客収容可能なエリアとして計算されており、実際の観客席としては、サイドスタンド(ゴール裏)1階の立見席を含めても、競技場全体で21,500席程度しかありませんでした。現在では、サッカー・川崎フロンターレの試合のみならず、陸上競技でも20,000人を超える来場者があることから、等々力陸上競技場の全面改修を推進する会では、快適に観戦できる席数や席種を増やすよう、様々な事例やアイデアと共に要望しておりました。

<旧メインスタンド>

<新メインスタンド>

川崎市の発表によると、新メインスタンドに設置される座席数は7,495席。これにより競技場全体の収容可能人数は合計で27,495人となることが公表されました。
(Jリーグの試合における観客席数としては、規定に基づいて記者席や緩衝地帯が設置されることにより、この数字より若干少なく発表される見込みです)


新メインスタンドは2層式です。こちらは下層スタンド。現時点では、目の前に仮設メインスタンドが建っているため、フィールドやピッチを眺めることはできませんでした。しかしながら前方はフィールドぎりぎりまでシートが設置されるとのことで、従来以上の臨場感が期待できるエリアとなりそうです。


新メインスタンドには、観戦者の多様なニーズを想定し、パーティシートやペアシートなどバラエティに富んだ座席が設置されます。こちらの写真の区画は、川崎フロンターレのホームゲームではラウンジ利用権とセットとなったプレミアムシートとして利用されるエリアです。


一方、こちらは上層スタンド。適度な傾斜もあり、フィールド全体が観易い作りとなっていると感じました。


スタンド内の階段は、人がすれ違える程度の幅で若干狭く感じたものの、階段自体の数は多く、隣の階段との間隔が比較的短い作りとなっており、座席ブロックが細かく区分けされているという印象でした。


上層スタンド最前列からの写真です。フィールド全体を俯瞰できます。想像してたよりもフィールドまでの距離が近いと感じました。


左右両サイドは大きく湾曲しており,1層目、2層目ともにサイドからでもフィールド全体を隈なく見渡すことができます。小中規模のサッカー専用スタジアムでしばしば起こる「見切れ」はなさそうです。

(3)コンコースが広くなります

等々力陸上競技場では、通行スペースとなるコンコースの幅が非常に狭いため、来場者でコンコースが大混雑してしまい非常に危険です。特にサッカーの試合では、ハーフタイムや試合終了直後など、同じ時間帯に来場者が一気に移動するためコンコースに人が殺到し、身動きが取れない状態になる程です。そのため来場者からは、危険を指摘する声や不満などが頻繁に聞かれるほか、万が一災害が起こった場合には、混乱をきたし大事故に繋がりかねないと大いに危惧されていました。等々力陸上競技場の全面改修を推進する会では、来場者が安全にスタジアム内を移動できるように十分な広さの通行動線を確保するよう、要望しておりました。

<旧メインスタンド裏のコンコース>

とにかく狭かった。天井も低く、圧迫感のあるスペースでした。

<バックスタンド裏のコンコース>

コンコースの幅が狭く、来場者で大混雑してしまい非常に危険でした。

<新メインスタンド>

新メインスタンド裏に設置されるコンコースの幅は約8メートル。来場者はこの通行スペースを通ってスタジアムを移動します。また、来場者向けの売店が入るスペースも確保されていました。コンコースから階段を降りたところに観客用のトイレがあります。コンコースにトイレの入り口を設置しないことで、トイレ待ちによる人の滞留が起こらない作りになっているとのことです。


こちらが観客用トイレです。手前が男性用、奥に女性用の入り口があります。


観客用トイレの中です。中央部に洗面台が設置されます。


観客用トイレには、更衣スペースもありました。応援で汗だく(ずぶ濡れ)になっても、ここで気兼ねすることなく着替えることができます。

新メインスタンドの一日も早い完成が待ち望まれます

今回の新メインスタンド視察の報告は以上となります。
現時点ではまだ建設中ということもあり、バラエティシートと呼ばれる多種多様な観客席の様子や、設備の詳細までは目で見て確認することはできませんでした。しかしながら、巨大な屋根を備えた2層式のメインスタンドでは、従来以上の一体感や臨場感が生まれることが期待でき、多様なニーズを持った観戦者それぞれに快適さをもたらすことは誰の目にも明らかだと感じました。新メインスタンドの一日も早い完成が待ち望まれます。

以上