第2回 等々力競技場改修の検討状況説明会について

「等々力陸上競技場の全面改修を推進する会」では、去る2010年8月20日に以下の通り、等々力緑地再編整備検討委員会事務局と会合を持ち、等々力陸上競技場の最新の検討状況について、同月4日の会合時の問い合わせに対する回答及び説明を受けました。

■日時: 2010年8月20日(金) 20:00~22:30
■場所: 川崎市役所 会議室
■出席者:
 等々力緑地再編整備検討委員会事務局(以下、委員会事務局)・関係部局担当者
  ・総合企画局公園緑地まちづくり調整室長 鈴木 賢二 様
  ・     〃            担当課長 岡 正 様
  ・     〃            課長補佐 安田 洋信 様
  ・     〃                   新井 雅美 様
  ・建設緑政局緑政部担当部長公園緑地課長(取扱) 大谷 雄二 様
  ・市民・子ども局市民スポーツ室長 小野 隆美 様
  ・     〃        担当課長 高岸 堅司 様
 等々力陸上競技場の全面改修を推進する会(以下、推進する会)
  ・各構成団体メンバー

■説明要旨 ([推]:推進する会側の発言,[事]:委員会事務局側の発言,[ス]市民スポーツ室の発言)

・資料1: 「川崎球場の歴史(概要)」 (市民スポーツ室より)
・資料2: 「アメリカンフットボールを活用したまちづくり」 (市民スポーツ室より)
・資料3: 「地域主権戦略大綱」 (委員会事務局より)

(1)「なぜアメフットなのか」、他競技と比較しても整合性が感じられる回答
   ※ 8月4日会合での問い合わせ
[ス](資料1,2参照)川崎は戦前から、社会人等の野球が盛んな土地柄であり、昭和26年に川崎球場が造られた。大洋、ロッテが移転し、プロ野球が去ったことで運営会社(株)川崎球場が大打撃を被った。使用する団体を探していたところ、アメフットが入ってきた。その後、老朽化でスタンドを解体。人工芝の老朽化はアメフット(アサヒビールシルバースター)の寄付で改修した。
阿部市長の意向は「川崎にあるものを生かそう、川崎の特長を出していこう」。川崎で行われていたアメフットについて「せっかくあるのだから、特長としていこう」となり、アメフットワールドカップ開催(2007年)となった。そういうイベントを一過性のものにはしたくない。日本アメリカンフットボール協会と川崎市で包括協定の締結に至った。現在、その包括協定にしたがって、大きく4つの取り組みを行っている。
[推]歴史は分かるが、なぜアメフットでそれだけのことをやることになった?
[ス]市民スポーツ室では、フロンターレへの対応と同様、陸上や総合スポーツクラブ等を業務としてやっている。市内にはいろいろな競技があり、その中で我々が、各競技に優先順位をつけることはできない。
市民スポーツ室の業務には、ホームタウンパートナー推進制度がある。各競技チームのホームタウン化を行っており、アメフットは富士通フロンティアーズ以外にも、アサヒビールシルバースターは所在地こそ横浜だが川崎で練習している。大学も強豪が使用している。
川崎球場を中心として、川崎をアメフットの聖地にしたいと考えている。すでにアメフット選手にとっては、川崎球場は聖地。関東の社会人はそう思っている。学生は、アミノバイタルフィールド(東京・味の素スタジアムの横)が聖地のようになっているが。

[推]川崎市体育協会に登録しているアメフットは8チームで、サッカーの比ではない。球場改修のために金を出したからアメフットを推しているように思える。であれば、サッカー協会も金を出すことを考える。
[ス]川崎球場は、サッカーもできる施設にしていくことを考えている。
[推]聖地にするのはいいこと。どこかのチームが川崎球場をホームとする話があるのか?
[ス]特定のチームではなくアメフット協会が、川崎球場で主に公式戦を開催する。
[推]川崎のチーム、川崎市民のためのスタジアムではないということか。
[ス]スタンド改修後でも使い方は今と変わらず、サッカーも使える。すでに今、アメフットもほとんど川崎球場で行っているのでこれ以上アメフットが増えることはないだろう。
川崎市の小学校で半数以上の74校では、授業とキラキラタイムでフラッグフットボール(激しいタックル等のないアメフットを基に考案されたスポーツ)を採り入れている。中学校では、その他競技の部活動が盛んなので1桁になっているが。フラッグフットボール協会と法政大学が数名、指導者を派遣してくれている。

(2)富士見にアメフット等で使用する「長方形の施設」を造らなければならない理由
   ※ 8月4日会合での問い合わせ
[ス]新設スタンドの収容人数は未定。昨年、1試合平均2,000人に至っていない。座席数は現状をベースにして考える。
[推]なぜアメフットと野球が共有できないのかを問い合わせている。
[ス]アメフットは年間165回使用している。等々力硬式野球場は土日中心で野球をやり、平日では高校、軟式もやっている。それらを持ってくると、日程的にオーバーしてしまう。川崎球場はフロンターレ(下部組織)も入っていて、利用度が高い。サッカーで180回以上利用されている。
アメフット専用施設とする気はない。サッカーの規格にも合うように検討していきたい。

(3)川崎のスポーツについて
[推]これから川崎のスポーツは、何を幹として発展させていく考えか?
[ス]今年と来年、市民に調査して、市民の要望を探る予定。もう一度、スポーツ基本計画を整理していこうとしている。柱はJリーグ・川崎フロンターレとの取り組み、アメフットであり、その他ももちろんあるとはいえ、それらが間違いなく柱になっていく。
[推]野球の大洋、ロッテが移転。ヴェルディも東京に出ていった。今、フロンターレが「競技場が限界にきている」と言っていることに対し、危機感はあるのか?
[ス]フロンターレには出ていってほしくない。ただし市としては、福祉やその他さまざまなことをやらなければならない。できる範囲で対応していきたい。
[推]検討委員会で出されている資料は、市民スポーツ室の意見も含まれたベストな案ということか? 災害が起こったなら避難経路やスペースが危うい状況を見ていても、そうなのか? 検討委員会のために市民スポーツ室が利用者や、競技団体ではなく観戦にくる市民から、意見を聞く場も設定されなかったと思うが。
[ス]川崎市体育協会を通じてご意見をいただいている。
[推]市民の気持ちは反映されているのか。等々力陸上競技場整備基金には、子供もたくさん寄付をしてくれている。その子供たちが、構造上問題のある競技場で将棋倒しにでもなって亡くなったら、誰が責任をとるのか?
[ス]熱い議論はしている。スポーツ振興の気持ちはある。

(4)硬式野球場が等々力緑地から移転できない明確な理由(不足と思われた部分の検討)
   ※ 8月4日会合での問い合わせ
[事]大師公園を含め、野球場を等々力緑地外に移転させられるかどうか、8月26日の検討委員会でも報告する。検討状況をお伝えする。
①緑地外へ野球場を出すための、まとまりのある土地をまずピックアップした。公園、学校施設跡地等。
②その土地の使われ方、今後の計画を見てみた。例えば大師は、軟式野球場、硬式野球場、テニスコートがある。大きな公式野球場を造るためにはテニスコートのある位置も使用してしまう。南部地域ではテニスコートも不足している。そういう、現状での使われ方を把握した。
③大きさを考慮しながら、現状での使われ方と計画を変えられるものかどうか、富士見も大師も考えてみた。その他学校施設等の跡地は、面積的に入らない。
④課題がないか検討。例えば、十分な空き地がある場所を検討してみたが、川崎市の所有地でないところは土地所有者の意向もある。また、ある程度の熟度のある地区計画があるなどしている。
結果、緑地外に野球場を出す先はないと考えている。

[推]大師公園への移転検討の詳細を教えてほしい。
[事]南部ではテニスコートを動かせる先がない。騒音問題も出るかもしれない。大師は近くに4m幅の道(住宅地)がある。等々力緑地ならば既得権というか、今まであるものは受け入れられやすい。
[推]大師では調整が難しい、ということか? 配置だけで言えば、野球場とテニスコートの位置を調整すれば、面積的には入る。また、「現状でこのように利用されているから」と言っていては、どこでも何一つ再編整備することはできない。
[事]調整のためには、5年、10年かかるもの。市長の意向で、市長の任期中(2013年11月まで)に終わらせたい。皆さんも10年待ってサッカースタジアムが造られるのでは厳しいでしょう?
[推]一定期間、野球場の仮移設先を用意できれば、調整をかける時間があるのでは? 川崎市内に野球場はいくつもあるが、サッカーと陸上競技は両方で、(少年レベル用のグラウンド数箇所を除けば)現時点で競技場がただ1つしかない状態であることも分かってほしい。
[事]野球がジプシー状態になるわけにはいかない。調整をかけ、合意を得るには時間がかかる。10年かかったら、皆さんも市長も納得できないだろう。野球場は等々力緑地内に残して、やり方を考えたほうがいいと考えている。残しつつ、サッカーの観戦環境も考えていきたい。
[推]野球場を造れば防災拠点としても使える。大師にはすでに野球場があるのに、それを建て替えるのにはそんなに反対があるのか?
[事]防災という使い方もあるが、近隣の方々は「新設」という見方をするもの。
[推]千葉マリンスタジアムは建物の中にバッティングセンターがある。テニスコートを中に入れれば雨天時でも使用できる。例えば広島県のみよし運動公園野球場も、他施設が複合された球場。こういう検討もしてほしい。
[事]前述のように、大師ではクリアしなければならない課題がある。
[推]大師は、時間がかかることが課題。それ以外の場所では、川崎市所有の土地がない、ということでよろしいか?
[事]一定の計画もない土地がない、ということ。
[推]等々力緑地の第1、2サッカー場(下水処理地下施設の上部)の位置に野球場を造るとして、下水処理施設の整備が終わっていない部分(第1、2サッカー場の外側)に野球場のスタンドがかからない形ではできないか?
[事]地下と地上で別にやってしまうと後々不都合が出る。同時にプランしていけばいいかもしれないが。加えて、スーパー堤防(多摩川対策)の盛り土がどうできるかも未定。

(5)8月26日「等々力緑地再編整備検討委員会」開催に向けて
[推]現在の競技場は25,000人収容と言いながら、構造上は1万数千人が入っただけでも危ない。現在の構造を利用しながら改修するという案が出されているが、それでは不安であり、何より収容人員増を試みるのは危険過ぎる。市長が「3年」で造りたいと言っているから結論を急いでその案が採用されてしまっては請願書の内容が満たされず、さらにはその後40年は新スタジアム建設の話ができなくなってしまう。
[事]再編整備基本計画では、今の競技場と野球場をどうするか、他のプール等をどうするかを盛り込むつもりだが、すべてを8月26日の検討委員会内ではやり切れない。
[推](前回8月4日の会合でおっしゃっていた)「1つの案を出す」のではなく、いくつかの案を委員に示すのか? 委員会事務局のほうで、13回続けてきた検討委員会の中で出てきた案を、意見がまとまっていない内に絞り込むことはやめてほしい。
[事]前回検討委員会までの4つの案に加え、野球場を緑地外へ出す案。それらが8月26日の出発点となる。
[推]推進する会でも検討した結果、1つの案をお示ししたい。
現在、陸上サブトラックでは、地下水の関係らしいが地面に凹凸が出てきてしまっていてすでに競技に支障ありと聞いている。サブトラックの位置を移動し、そこに「市民ミュージアム、等々力アリーナと関連性を持ったスタジアム」を造るのはどうか。
スタジアムと連動させることで、ミュージアムやアリーナをもっと活用させることもでき、それら各施設の間の空間には「人が集まれる賑わい、憩いの場」も設定できる。ミュージアムやアリーナで催事を行う際は、その空間もスタジアムも連動して使用できる。
[事]競技場という施設をどうするかにあたっては、後世に残るものなので、100~200億円規模で考えるもの。

(6)「特区」化の検討、詳細情報
   ※ 8月4日会合での問い合わせ
[事](資料3参照)「地域のことは地域で決めよう」ということで、国から「地域主権戦略大綱」が出されている。
<資料3ページ目、2の(1)>「特に問題があるとされた「施設・公物設置管理の基準」、「協議、同意、許可・認可・承認」及び「計画等の策定及びその手続」について、その具体的な見直し措置等が第3次勧告(平成21年10月)において提示された」となっている。
<資料別紙1の1>「①従うべき基準」は、守りなさい、ということ。「②標準」は、異なるものも認める。「③参酌すべき基準」は、十分検討されたが地域としてはこうやる、というもの。
<資料別紙1の(19)>一番下に、都市公園法の設置基準は「③参酌すべき基準」とされている。ただし、「条例制定に関する国の基準の類型については、地方公共団体からの要望等を確認し、法改正までに結論を得る」とある。
これについて今、国からアンケートが届いている。市長は今、指定都市の地方分権の座長をなさっている。はっきりとは言えないが、市長のこれまでの言動を見ると「③参酌すべき基準」としよう、とおっしゃるのでは。
<資料参考1-1>第四条の「百分の二」(基本の建築面積の総計=2%)を変えるのか。ならば、いろいろな公園がある中で、行政としてどうやって決めていくのか。2%の根拠は何なのか、国に問い合わせている。
地方公共団体からのアンケートを国がまとめ、それによって国が①~③のどれにするのか決める。早くて来年、国から奨励等で「法律をこうしよう」と出る。法律化は早くて平成24年4月から。
[推]その流れに沿った形で、特区申請についてはどうお考えか? 委員会事務局の皆様が、建蔽率の重しを感じているのかどうか。
[事]等々力緑地は、「建物が多い。緑をもっと」というのが一番大きな話。建物を増やすことはない。
[推]前回(8月4日会合)、「緑は連続性が大事。増やすと言っているのではなく、整備する」とおっしゃっていた。だが、建蔽率12%は超えさせない、やっぱり緑を増やす、ということ?
[事]建蔽率がもし、「安全・快適」のために大きくしなければならないなら、検討しなければ。今はまだそこまでの絵を描けていない。
[推]建蔽率が12%を超えることは、国の法律ができようができまいが検討、という認識でよいか?
[事]並行してやっていく、ということですから。

■今後について
等々力陸上競技場の改修について、8月26日(木)に第14回等々力緑地再編整備検討委員会が開催されます。同委員会はこれが最終回となる予定であり、「大規模施設の数」、「同施設の位置」についても重要な話し合いが行われる予定です。
なお、同委員会は傍聴可能となっています。8月26日(木)10時から、川崎市役所第3庁舎(本庁舎の向かい側の建物)18階大会議室にて開催されますので、ご興味のある方はぜひ傍聴なさってみてください。10時前に大会議室前にいらっしゃれば、市職員の方がご案内してくださいます。

また、推進する会から委員会事務局に、8月26日の委員会後にも会合の場を持つことをお願いしてあります。

以上