等々力陸上競技場整備に関する説明会のご報告

2012年11月24日(土)に開催されました「等々力陸上競技場整備に関する説明会」についてご報告いたします。

—————————————————————
「等々力陸上競技場整備に関する説明会」
2012年11月24日(土)12:30~14:00 於・会館とどろき

[当日資料]
■川崎市建設緑政局 等々力緑地再編整備室より
資料:等々力陸上競技場整備に関する説明会

[主催]
川崎市

[出席者]
・川崎市建設緑政局等々力緑地再編整備室 室長 濱見 健 氏
・川崎市建設緑政局等々力緑地再編整備室 事業推進担当課長 平井 正明 氏
・川崎市建設緑政局等々力緑地再編整備室 担当係長 小藪 隆文 氏
・川崎市建設緑政局等々力緑地再編整備室 担当係長 藤井 義章 氏
・川崎市まちづくり局施設整備部大規模施設建設担当 担当係長 清水 洋一 氏
・川崎市まちづくり局施設整備部大規模施設建設担当 技術職員 塚本 猛 氏

[参加者数]
約100名

[意見交換会内容]
川崎市

4月に実施計画の取り組み状況、経過、スケジュールを報告した。本年度より本格的に工事に着工する。まずは仮設スタンドから。すでに川崎市やフロンターレのHPで紹介している。

等々力の改築にあたっては、平成20年の請願に始まり、これまでも皆さまからのご意見をいただいた。ファン感での女性向けアンケート、先日も競技場で皆さまにアンケートをいただいている。今後、それらをどのように盛り込んで反映させていくか。検討していきたいと思う。本日は基本設計に取り組んでいる段階なので、今日は大まかなイメージと概要を説明したいと思う。これまで皆さまの活動など、お声がお力添えになり、事業を推進する上では私どもの事業の後押しになっているものと意識している。

それでは説明に入ります。前半に仮設スタンド、仮設スタンド時の園路の整備の説明。その後にメインスタンドの改築の説明をさせていただきます。

スケジュールについて説明します。今日の試合と明日の陸上競技会をもって今年度の活動は終了となり、来週から仮設スタンドの整備に入る。来年3月末に完成予定。1月中旬からは桜並木のところが工事エリアになる。道路の代替として仮設園路の整備をします。こちらについては通常の公園利用時については車の通行はあるが、Jリーグ開催時には車を止めて歩行空間とする。

次にメインスタンドの解体は来年の4月からになります。それを7月頃まで行い、新設工事は来年の8月から平成27年の2月までになる。平成27シーズンより新しいメインスタンドでの活動となります。

平成25、26シーズンは借囲いが設置されるので、現在のフロンパークから北側サイドスタンドへの動線については、フロンターレロードを抜けて、今回新設される仮設園路を抜けて、今ある日本庭園を整備に伴い平地にしてこちらを抜けていただき通っていただく。

仮設スタンドは今のメインスタンドと陸上トラックの間に設置。観客席への動線については現7番ゲートの脇に仮設スタンド専用の階段を作り、そこを利用しスタンドへアプローチする。2年間利用するので、バリアフリーも考えてエレベーターも設置する。階段脇のところから上がっていただいて、2階がコンコースになってそこを通る。観客席は2つのゾーン、北側スタンド128席、中央360席を設ける。計488席。男子、女子、多目的トイレを設置し、各トイレはおむつ変えもできるユニバーサルトイレにする。

北側スタンドは最前列の床はピッチレベルとほぼ同等。中央は最前列の床はピッチから2.5m程度の高さになる。以上で仮設スタンドの説明は終わります。

続いて技術提案の説明をさせていただきます。

(新メインスタンド技術提案イメージ動画の放映)

前回4月28日に説明経過をした。その際に事業者がどのように選定されるか説明した。今回設計施工という形で決めていくので、川崎市で要求水準書を作っていきました。それをもとに評価基準を参考に、最終的に点数を、工事費を総合的に勘案して決定する流れで決定すると説明しました。この要求水準書を作るのに、これまで建て替えに対する請願やアンケートを取り入れ要求水準書を作っていました。

これは審査の際の公表ベースで発表されているのでそれを説明させていただきます。今回の提案は左右が非対称の外観で公園に開かれた形状となっている。緑地や池と連続するようなランドスケープデザインとなっています。池と公園側に開かれていることと、観客を取り巻く環境。新鮮で躍動感ある形態。緑地の景観に馴染んでいる。また建物の屋根を低くする。また技術としては太陽光発電、ハイブリッドライト、地中熱利用など環境配慮技術を導入しており、建物を緑化し、周辺緑地と調和を図っているという提案。技術提案については総じて好評を得ている。

緑地から競技場へ入場する際のイメージについて。最初に広場から競技場へ。広場の向こう側に競技場があるイメージ。続いてゲート入口から競技場を見た感じ。続いて階段を上ってコンコースへ。大きな屋根に囲まれた開放的な空間がサポーターを迎え入れる提案。

様々な観点から評価を行い、最終的には入札価格も含めた総合的な審査を行った結果、優れたものが今回の入札者ということになりました。という経過です。

次に施設の基本的なゾーニングについて説明します。観客席のスタンドが2段になっています。上部にスカイテラスという特別な席。来賓エリアにはスカイボックスシート、グループボックスシート、来賓ラウンジなどを備えています。メディアのエリアとして実況放送室、記者席が配置。運営エリア写真判定室、場内放送室、映像操作室が備えられていて、半地下の部分に選手更衣室、運営本部が設置されています。

ここからは皆さまからいただいたご意見をもとに、要求水準書と評価基準を合わせて技術提案を説明します。

●メインスタンドに屋根がない

芝の育成環境を確保しながら全て観客席を覆うこと。屋根、座席など快適性、多様な席種など魅力的な工夫がされているかということをもとに評価がされました。座席は一番前まで屋根がかかり、芝への環境を考えて、席の前は透明な屋根が設置されている。

●快適な座席を増やしてほしい

将来の段階整備への配慮として、2期整備後で35,000席を前提として設置、入場可能数10,000席以上を確保すること、という要求水準になっている。暴風対策のための防風の壁や、バス待ちのエリア、芝生環境を考えた透明な屋根の素材を手配。

●フィールドの近さ

要求水準書の中ではグラウンドまで近く、適切な傾斜を確保し、グラウンド全体の見易さを確保すること。評価の基準は近く、適切な傾斜を確保することに対して、技術提案では構造をまっすぐな柱ではなく、前傾で構造の形がFの形をしている。他の競技場との比較では味スタとの比較では一番後ろの席で約15mピッチに近い。新潟のビッグスワンとの比較では約20m近い。工夫としては地下を掘り込んで、部分的に可動席を設けてさらに近づける工夫をしている。

●来場者が混雑して危険であるという要望

競技場利用者の明確なゾーニングと動線計画を確保。特に観客の歩行空間については将来の段階整備も考慮しながら人が集中しても安全で円滑な十分な数量、適切な形態、設備を確保すること。評価の基準としては観客、競技者、メディア、来賓、運営が動線、ゾーニングが適切に設定されているかで評価した。技術提案としては開放的でグラウンドが見られる。コンコースが7.8m。今は3.5m、狭いところでは1.5mになっている。サイドに店舗も設けて楽しさを設ける工夫をする。トイレは下に作ることで動線を分ける工夫する。

●子どもや女性にやさしい環境

ユニバーサルデザインの配慮の要求水準と評価基準を定めて、技術提案としてはユニバーサルデザインの観点から誰でも安全にかつ快適に利用しやすい施設にすること。提案では居場所のわかりやすいスタジアム。わかりやすいデザイン、きめ細やかな対応という中に託児所などの提案も入れてある。

ここまで説明したことは事業者の技術提案といたしまして、現在の取り組みでは運営団体の皆さんと詳細のプランと詰めているところ。推進する会で実施した女性目線のアンケートの結果もいただいている。今回、メインスタンドを改築する上で我々のほうでもアンケートを実施させていただき予想を上回る1,000件のアンケートをもらった。

少し主だったところを説明させていただくと、魅力的な観戦環境を整備するために通常席以外で家族連れなどが利用できるグループシート、カップルシートのニーズが高い結果になっている。女性目線のアンケートではトイレについては80%が洋式がよいとしていてニーズが高いとのこと。試合以外の日は公園利用者が利用できる施設としていきたい。試合日はフードコート、カフェなどがありまして、試合がない日はレストランなどのニーズが高い結果となっている。またこちらから川崎の魅力を発信する施設として、藤子・F・不二雄ミュージアム、多摩川、大師などが川崎の魅力じゃないかというご意見もいただきました。このような意見も参考にしながら詳細は現在つめているので、春頃にお知らせしたいと思います。

以上で説明を終了させていただきます。

先ほどもお話をさせていただきましたが、スタジアム前面の広場や真ん中のバス待ちのスペースは、全体的にはこの方向性で進んでいくと思いますが、あくまで事業者提案なので、今利用団体の皆さんとお話をさせていただいて、そのへんが詰まった状況でお話をさせていただきます。

それでは続いて、皆さまのほうからご意見をいただいて、答えられる範囲でお答えして、詳細がつまっていない部分については、私どものほうも参考とさせていただきたいと思います。

(質問者)

4月の説明会の際に、近隣住民にとって生活道路である桜並木が撤廃されると非常に困るという話があったが、今の資料を見ても、その意見に対する対策が見られなかった。もう一つは設計側の方になると思いますが、これは2期工事になると思うが、スタンドの形状などは非常に魅力的だが、等々力の1番の売りであるピッチの良さについては屋根を透明化するので日当たりはいいが、通風も芝生に影響するが、設計の中で考慮されているのか。

川崎市

今の質問は川崎市から2点とも説明させていただきます。1点目の以前の説明会の時に主に近隣住民から言われていたが、中央の道路の廃止について困るという話をいただいているが、結果の報告だが、近隣の方々から議会のほうに中央道路の廃止撤廃の請願が出たが、6月の市議会の中で第1回の審議が行われました。行政側からすると、生活道路としての機能する道路は残す方向で話をさせてもらった。その辺りの検討を踏まえて地域の方と検討を続けるということで、6月の時点で「継続」という話になっていました。9月の議会になるが、今回の工事議案の議会の承認が必要になりましたので、契約の議案と中央道路の公道の廃止と合わせて、3月に請願されていました3本の議案を一括で審議して、9月27日に改めて審議され、結果として工事議案が可決。中央の道路は廃止で可決されました。その結果を踏まえ、請願については不成立となりました。地域の方々の生活道路の機能を存続させると。メインスタンドの後に硬式野球場を全面改築します。その位置が少し競技場側に移動した形になり、今の予定では概ね平成28、29年に野球場の改築工事を予定している。その野球場の改築後に、野球場の北側を正面広場のほうに向けて新たに園路を整備する。その園路については公道ではないが、公園内の通路として整備を検討している。それが生活道路として機能することを約束した中で話をした。工事中については仮囲いの外側に仮設の園路を設けて、Jリーグなどの大きなイベント時には車は通行止めで、利用者の安全確保と共存する。もう一点、桜並木について樹木の保存が議会に出されており、6月議会で審議され、これは等々力緑地の中で再編整備を進めていく中で、最大限生かしていくことが受理されたので、可能な限り、すべてがすべて移設できるわけではないが、できる限り樹木についても移設なり、保存で整備を進めていく。中央の桜並木は樹木的には少し年を取っている。樹木の診断をやっており、移植に耐えられるのかどうかを調査して、それらを踏まえて残せるところは残して整備を進めていきたい。

2点目の芝への通風についてですが、2期の時にとお話があったが、1期でも同じ課題があるので、雨風はもちろんだが通風や日当たりも要求水準の中でうたっており、考えなければならない。コンコースにはルーバーなどで通風は確保できるようにしている。これはまだ提案の段階だが、段床のスタンドにちょっとした隙間があるので、全部コンクリートで埋まっているわけでなくて、風の流れが確保できるような提案。少し隙間が空いている提案を受けているので、それがうまくいけば2期工事でも採用したい。

(質問者)

新丸子、小杉に向かって歩いて帰る方が多くいるが、1万人がどうやって歩いて帰るのか、動線が確保されているのかよくわからないので教えてもらえれば。

川崎市

メインスタンドが出来上がった時にどうやって抜けるのかということだと思うが、今あるのはあくまでも事業者からの提案なので、その辺りの動線についてはつまっていないのでお知らせするまでに至らない。基本的にはそちらに抜けるルートなども配慮しながら進めていきたい。次回の時にご案内できると思う。

(質問者)

2点あって、メインスタンドの解体で今のメインスタンドの椅子がゴミになるが、現状両サイドの1階ゴール裏が立ち見なので、リサイクルの観点で不要になった椅子をゴール裏につけてもらえれば。ゴミも減ると思う。もう一つはメインスタンドの工事は賛成だが、2期の工事でバックスタンド側の全面改修は何年後になるかわからないが、今も雨漏りがあるので、随時修復程度でもいいので直してもらえないか。

川崎市

椅子については我々もアイデアを持ってないので検討したい。補修についてはメインスタンドと合わせて順次やっていきたいと思う。

(質問者)

2点あって、1期完成に至るまでの仮設のスタンドについて、2シーズンにわたって使用するが、安全性をとっていると思うが、仮設の期間の運用のところを教えてもらえれば。もう一つは2期について具体的な時期が出ていないというが、お金がかかるので見込めないと思うが、今のところで2期がどれくらいでどのように進むのか教えてください。

川崎市

仮設スタンドは2年使う。(同じくメインスタンド改築工事を行っている)町田市でも仮設スタンドを造っていて、建物の紹介をすると、事務棟はお客さんが入らいない。一方、川崎市ではその点について競技運営者と協議を進めていて、仮設スタンドにも7番ゲートからお客さんが入ってくる。ホーム側のサイドやバックスタンドからも仮設スタンドに入れるように考えていきたいと思っている。もちろん安全性を考えて進めていきたい。反対側のアウェイ側は建物自体が連続していないのでいけない。2年使っていただくのでバリアフリーは当然だし、安全性を考えていきたい。日本庭園を整地して平らにして、一部工事エリアになるがお客さんが待機する場所にしていきたい。

2期工事については以前の説明会でも説明させていただいたが、平成23年の3月に等々力緑地再編整備実施計画を策定して、10年間で周辺の緑地も含めて再整備を図っていこうと計画した。具体的な大まかなスケジュールを平成23年の11月に等々力陸上競技場整備計画として策定した。そのスケジュールの中で陸上競技場については平成24年に契約して解体して1期の工事に入り、平成27年3月までに利用できるように進めている。次の段階として平成27年の夏に野球場とプールを改築して、平成28、29年の2年で野球場を全部整備します。その後に2期計画については平成30年以降に着手していく予定。この前提として平成28年に事業評価をする。実は、借金を払い終わらないと造ったものを壊せない。その関係で、平成30年から着手するには平成29年までに約29億円を返済してからじゃないと工事に入れない。平成28年の事業評価とは、あくまでも2期の工事をやるという前提で具体的なスケジュールを組むこと。平成28年にしっかり事業評価をしてからになります。

(質問者)

2点あって、まずはフロンターレは試合をやると思うが、等々力でやっているような陸上などのイベントをやらないなどの影響が出ているのか確認したい。もう1点は可動スタンドが出たが、面白いと思うが、どういうことを想定しているのか。例えばトラックの上なのか。

川崎市

陸上では、等々力陸上競技場は第1種陸上競技場なので、今回は幅跳びを潰すことになって、陸連と相談したが幅跳びがないと第3種になるので、大きな大会は開催できないという話になっている。2年は別の場所でやる。陸協さんとも話をしている。実際に話を聞くと、幅跳びの走路はバックスタンド側にもあるが、そちらを使うと、そこでは棒高跳びをやるので、それができなくなる。できる大会の規模は限定されてくるという話は聞いている。

可動スタンドについては、まだ事業者提案なので、詳細はつまっていないという説明しかできない。サッカー以外の際はスタンド下にしまう感じで、サッカーの時は出してきて並べるというイメージ。陸上のトラックの上に乗せるのは難しいので今のところはその手前のギリギリのところ。またメインスタンドは地下を掘り込んでいて、選手が出てくる場所などには設置できないので、設置できる場所に限りやっていこうという技術提案がされている。詳細はつめているところです。

(質問者)

ただいま可動スタンドについて出たが、イメージ図を見るとメインスタンドでは傾斜角度が足りないのではないか。静岡のエコパも可動席があるがそんなに高くないので、見づらいという意見がある。その辺りは考慮してもらえるのか。もう一つは先ほど味スタとビッグスワンとの比較が出たが、規模が違うので多分最後部座席というのは近くなるのではないか。だいたい規模が同じスタジアムと比べてどのような利点があるのか。

川崎市

可動席の角度については、我々の考え方では、間近で見られる席と考えて、前の人と被るなどの問題は出てくるかもしれないが、それは特別な席と考えていただいて利用してもらいたい。その考え方で運営できるかどうかは今後つめていく。

確かに今回紹介したスタジアムは4万とか5万のスタジアムで規模が違う比較になっていますが、メインスタンドだけの規模と考えると、この2つが内容的に比較的近いものだったので、ここでのご紹介だった。もう少しいい例があればまたご案内したい。

(質問者)

湘南の本拠地の平塚競技場でもネーミングライツをしているが、新しいスタジアムができた後、川崎市としてもネーミングライツとして収益をあげるのか、既存の名前でいくのか。

川崎市

他のスタジアム、自治体もネーミングライツをやっている。管理も指定管理者制度をやっている。一般的には行政だけの管理ではなくていろいろやっている。そういう状況ではあるが、今回は1期ということでサイド、バックスタンドができていない段階。等々力緑地全体では他の施設、釣り堀、テニスコートもあるので、方向、方針としては検討しているところ。1期改築後にすぐにネーミングライツや指定管理者制度をやるというところにはまだ至っていない。全体の方向性、方針は検討しているので、適正な時期、適正な段階でそういったものを検討したいと考えている。

(質問者)

今回メインスタンドに屋根がつくが、芝の育成のために半透明にしているのは分かるが、例えばその下にいる人に直射日光が当たると思う。対応は考えているか。

川崎市

なかなか難しい話で、まずは雨をしのぐということを第一に考えているので、その辺りに関しては話になっていないのでご意見として受け取らせていただきます。

以上